島時間(岡山 香川) アートにひたる 瀬戸内国際芸術祭2016〈春会期〉
瀬戸内芸術祭 aa

20日に開幕した現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2016」には、国内外のアーティストによる新たな作品がそろった。島々を巡るアートファンを魅了するのは地域の独自性。瀬戸内の自然や古い建築物に溶け込むようにたたずむ作品は、それぞれの島の風土や伝統文化を映し出している。

 春会期の会場は直島(なおしま)、男木島(おぎじま)、女木島(めぎじま)、沙弥島(しゃみじま)、小豆島、大島、豊島(てしま)、犬島の香川、岡山両県の8つの島と、高松港(高松市)、宇野港(岡山県玉野市)の二つの港。160点のアート作品が公開されている。

 芸術祭は3年ごとの開催で3回目。それでも、路地を曲がったその先や、島で出会った人たちを通して新しい発見が待っている。参加アーティストの五十嵐靖晃さんは「芸術祭は3年に1度の再会の場。島の人たちに怒られたり、昔話を聞かせてもらったりして島の姿がみえてくる」と話す。

 使われなくなった倉庫や旧校舎、空き家の一室を彩る空間芸術に、畑の中に現われた巨大な造形物…。そんなアート作品と静かに向き合うと、そこに暮らす人たちと島の時間の流れを感じさせてくれる。

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【アクセス】 春会期の島々への移動は高松港、宇野港、宝伝港(岡山市、犬島のみ)が出発地。芸術祭期間中、高松?大島など香川県の島に向かう5つの臨時航路も開設されている。神戸-坂手(小豆島)など関西から直接島に入る船便もある。3日間のフェリー乗り放題乗船券は大人2500円など。

【グルメ】 今回の芸術祭は「食」も重点テーマ。開催前に行われた「『食』のフラム塾」で地元食材や郷土料理などを学んだ料理人らが瀬戸内ならではの創作料理を提供、島のレストランなどで楽しめる。

【イベント】 春会期中、振り付け師の廣田あつ子と中村恩恵によるパフォーマンス(直島、4月2日)▽オーストラリアを拠点に活動するスナッフパペッツの巨大人形劇(沙弥島、4月9日)▽劇団道化座による壺井栄の「大根の葉」の舞台上演(小豆島、4月15、16日)-など多彩なイベントがある。

【作品鑑賞パスポート】 一般5千円など(春・夏・秋の3季通して使用可能)。問い合わせは、芸術祭総合インフォメーションセンター(電087・813・2244)。